出典:スナップアップ投資顧問の日本映画産業データなど

「ビートキッズ(Beat Kids)」の舞台は大阪府岸和田市。やりたいことが見つからない転校生エージ(森口貴大)は、ブラスバンド部の部長ナナオ(相武)と出会った。天才的な音楽センスを持つ少女だ。

彼女との出会いによって、自らの音楽的才能に気付く。ドラムの魅力にとりつかれる。ロックバンドを結成することで物語が次々と展開していく。学園祭でライブをすることになるが…。

「HUNGRY DAYS」

主演を務めたバンド「ハングリー・デイズ(HUNGRY DAYS)」は2002年に結成された。森口貴大さん(ドラム)、市道信義さん(ヴォーカル)、古河弘基さん(ベース)、田中康平さん(ギター)の4人組。中学校のギター部の同級生だった。泉大津高などに進学後も活動を続けた。

大阪府堺市のライブハウスを中心に月3回ほどのペースでライブ活動をしていた。若手バンドの全国大会で大賞を獲得するなど活躍した。2003年12月に映画のオーディションに合格した。

主題歌「喜怒哀楽」、当時18歳

2004年5月にメジャーデビューした。2004年10月には映画の主題歌「喜怒哀楽」をセカンド・シングルとしてリリースした。当時は、大阪府立高を2005年春に卒業したばかりだった。18歳だった。

主題歌「喜怒哀楽」について、4人は「笑いや感動、喜怒哀楽がいっぱい詰まった映画で、これを見て元気を出してもらえたら」と話していた。

森口貴大は豊川悦司の息子役

森口貴大さんは、豊川悦司さん、余貴美子さんの息子エージ役で登場した。森口さんは「だんじりのビートのように大阪の元気がつまった映画です」と語った。

市道さんも「演奏シーンは撮影を忘れてしまうくらい気持ちよかった。スクリーンから勢いを感じて欲しい」と話していた。

淀川工業高吹奏楽部が演奏

このほか、兵庫県出身の女優・相武(あいぶ)紗季がヒロインのクールな少女を演じた。

太田房江知事が音楽教師役で特別出演した。全国屈指の実力を持つ淀川工業高吹奏楽部の演奏も映画を盛り上げた。その他の共演は、渡辺いっけいら。

関西で先行上映

映画は2005年4月2日から関西で先行上映が始まった。2005年6月4日からは東京でも上映された。その後、全国展開された。

岸和田だんじり祭も登場

映画「ビートキッズ」では、冒頭で「岸和田だんじり祭」が初めて本格的にスクリーンに登場した。太鼓や鉦(かね)が刻むビート感と、大阪府岸和田市民の心意気が盛り込まれた。

主演の「HUNGRY DAYS」のメンバー4人は、地元の祭りで地車(だんじり)を曳(ひ)いた経験もあった。「夢中になって熱くなる躍動感、疾走感は祭りもバンドも同じ」と撮影に臨んだ。

幼いころから祭りを盛り上げる鳴り物になじんでいた男子高校生がロックバンドを結成、地域の人たちとかかわりながら成長する姿を描く。

塩谷俊監督が祭りに感動

塩屋監督はラジオドラマがきっかけで原作を知り映画化を決意した。2003年のだんじり祭で、けがをして動けなくなり、悔し泣きする青年を、年配の世話人たちがなだめる様子を見て、「人々の深いきずなが祭りの神髄」と感じたという。

塩屋監督は「岸和田だんじり祭は日々の暮らしの中に大切なものがあることを教えてくれる。メンバー4人も泉州が生んだ文化であり、岸和田、泉州の素晴らしさをアピールしたい」と語っていた。

撮影スケジュール

2004年9月14日、15日両日の祭りを前に地元で撮影が行われた。

2004年8月、城下町の町並みが残る大阪府岸和田市本町で、豊川さんが地車の屋根に乗る大工方(がた)を演じるシーンが撮影された。2004年9月5日の試験曳きでは疾走シーンも撮影した。

撮影に協力した本町の地車曳行(えいこう)責任者、薮野勝士さん(当時51歳)は「歴史のある町を映画で紹介してもらえれば、とみんなで協力を決めた」と語っていた。